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Vol.4  <Mission  Not  Impossible>
カムバック・トルシエ。


 チームに何人かのベテランは必要なのだ、と言う意見がある。俺も4年前なら激しく同意した。しかし、変わったのだ。俺が、ではない。日本の代表チームのレベルがだ。今の日本の「30代」の選手の持っている「経験」など、何程のものか。中田という特別な存在を持ちだすまでもなく、20代シドニー世代の稲本や小野の方がよほど大きな「経験」を積んでいるはずだ。これまでベテランが重要視されてきたのは、年功に頼ってしまう日本人的なメンタルゆえに必要とされてきた部分が大きい。だが、トルシエ・ジャパンのメンバーたちは、そんなアナクロニズムを吹っ飛ばして、個々のリーダーシップを目覚めさせたのではなかったのか。今の代表チームでなら、中田が小野が稲本が高原が、中村や鈴木が、ジーコに呼ばれない戸田ですら、4年前に必要だったベテラン以上の「経験」を与えてくれるだろう。ジーコはせっかく目覚めた子供たちを寝かしつけてしまった。選手の個性を大事にする自由なサッカーをやると宣言したが、見せてくれたのは相手チームの個性をひきだすサッカーだった。
 アルゼンチン戦、すっかり日本代表に醒めていた俺にはむしろ楽しい試合だった。アイマールとサビオラのコンビネーションはいいな。ベロンやオルテガやC・ロペスがいなくても、アルゼンチンの若いメンバーはこんなに創造的だ。クレスポがいなくても、こんなに得点力もあるし。惜しむらくはリケルメとアイマールの共存というトライを見れなかったこと。相手が日本でなければ、本当に心から楽しめた試合だったかも知れない。しかし、アルゼンチン相手に策のないマンマークで対応しようとしたおバカさんたちは我らがジーコ・ジャパンだったのだ。
 ボールテクニックは巧くなっても、フィジカルの差は100年経っても埋まらない。日本が世界のトップレベルに対抗するにはマンマークではなく、組織的なディフェンス・システムの確立だ。と、いうのはもう10年も前からわかりきっていたことではなかったか。そして、現実的にはモノにするのが難しいと思われていた3バックを、「フラットスリー」という形でマスターしたのは、つい最近のことではなかったか。何も、あの頃のシステムや戦術に戻れと言っているわけではない。トルシエ・ジャパンをベースに積み上げるべきだ、という至極当然真当なことを言ってるにすぎないのだ。ここまでせっかく獲得してきたものを次々と捨ててどうする。
 クライフは02年のW杯開幕前に予言している。
ブラジルのようなサッカーができるのは特別に高い能力をもった選手が揃うブラジルだけだ。もしブラジルが優勝してしまったら、ブラジルチームを目指してしまうという間違いをしでかす監督が出現してくるかもしれない。
 トルシエを懐かしむのは愚かなことかもしれない。だが、悲しいかな現状を黙って受入れているより、はるかに有益なことだと思えるのだ。
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